「共同経営はメリットが多いと感じています」ananda青木享輔さんと北村征喜さんが明かす共同経営のススメ
右から北村さん、青木さん
原宿や表参道より美容室の数が多いと言われる下北沢で、2012年のオープン以来、地元住民に愛され続ける美容室「ananda」。こちらのお店を共同で経営されているのが、青木享輔(あおききょうすけ)さんと北村征喜(きたむらまさき)さん。
取材当日は、似たような黒いハットをかぶっていたお二人。そして写真撮影が始まると、示し合わせたように、腕を組むポーズを決め、仲の良さが垣間見えました。
同期で入社し、表参道の人気美容室でツートップを張っていたお二人が、独立を決めた理由とは?
共同経営のメリットとデメリットとは? お二人のサロン経営について伺ってきました。
冷静な北村さんとエネルギッシュな青木さんは静と動の関係
-お互いの第一印象はどうでしたか?
北村征喜さん(以下、北村)「青木は、エネルギッシュでとにかく元気な人という印象を受けました」
青木享輔さん(以下、青木)「北村は、今も昔も謙虚で冷静沈着。僕は『思ったら一直線タイプ』で、よく突っ走っちゃうんですけど、そういうとき北村が引き止めてくれるので助かります。あと人の話を聞ける人。僕が喋りまくって、北村がじっと聞く。静と動の関係です」
-お二人で独立しようと思ったのはなぜですか?
青木「北村のスタイリストとしての働きぶりを見て、『北村となら一緒にやっていけるかもしれない』と思ったのがきっかけです。僕が持っていないものを持っているから、互いのいい部分は伸ばせるし、足りない部分は補っていけるんじゃないかなと思って、三軒茶屋の飲み屋で口説きました(笑)」
北村「僕もその頃、漠然と独立というものを考えていたんです。でも『難しいのかな』って、二の足を踏んでいたところだったので、話に乗ってみようと。今思えば、独立するチャンスはあのタイミングしかなかったかもしれませんね」
青木「そうだね。年齢的にも、時代的にも、あのときがベストだった」
-共同経営という形態に心配はありませんでしたか?
青木「なかったですね。それまでも仕事の相談をするのはいつも北村だったし、明確な答えを返してくれるから信頼していた。何より二人いた方が、何事にも効率がいいじゃないですか。資金集めも、仕事も、2倍の速度でできますから」
-独立することを決めて、最初にしたことは?
青木「まずは貯金。具体的には、お互い月に5万円ずつ、5年で650万円くらい貯めて、政府からの支援金1000万円を足して運転資金にしました。それと同時に、2週間に1度、会議の時間を持ちました。
そこで事業計画書や店のコンセプトや役割分担を練っていました」
北村「二人とも美容のことしか知識がなかったので、店作りや経営について学ぶために、いろんなお店を回ってリサーチしたり、経営の本を読んだりもしましたね」
青木「失敗できないもんね。結局、構想から実際に店をオープンするまでに5年かかりました」
-その間、意見がぶつかったり、喧嘩することはありませんでしたか?
青木「一回もないですね。長く同期として一緒に働いてきたこともあるし、僕が北村を尊敬しているというのもあるし(笑)」
北村「意見が食い違ったら、まず話し合いをすることを心がけました。飲みながら意見を交わし合って、結論は翌日か2日後くらいに出すようにしました。クールダウンする時間が必要なので」
青木「そうそう! お酒も入っているし、二人とも熱くなっちゃうから、その場で何かを決めるのは危険。帰り道、『ちょっといいすぎた、ごめん』ってメールすることもしょっちゅうあります(笑)どうしても結論が出ないときは、北村の考えに合わせることが多いですね。代案を出してもらうこともあります。自分の意見を通したいという気持ちはないかな。そこは素直に聞きます」
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