俳優として未完成だからシンバ役を10年続けられた  

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1998年の開幕以来、日本演劇史上初の無期限ロングランを継続するミュージカル『ライオンキング』。そのメインキャストであるシンバ役のひとりとして10年以上出演し、2015年の1万回記念公演にも出演したのが劇団四季の俳優、田中彰孝(たなかあきたか)さんです。大役を掴み、それを続けるためにどんな努力をしてきたのか、QJナビの読者に向けて話してもらいました。

 


 

大学の願書提出期限前日のできごと

 

僕の父は教師で、小さいころから剣道を習っていました。その大きな背中を見て育った僕は、自分もいつかは教師になって剣道を教えるものだと思っていたんです。

 

高校3年の11月には、父が卒業した大学の推薦入試を受験することが決まっていました。ところが僕はその願書をどうしても書くことができなくて…。

 

提出期限の前日、帰宅した父が「願書を書いたのか?」と聞いてきました。そこではじめて舞台俳優の夢を明かすと、父はショックを隠せない様子で寝室に入っていきました。

 

翌日、「あんたどうするつもりね?」と母が聞いてきました。そこから、自分の想いを家族に伝え、劇団四季に入ろうと動き出したんです。

 

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舞台俳優を目指すきっかけになったのは、劇団四季の『オペラ座の怪人』を観劇したこと。劇中の歌と踊りに心を揺さぶられましたし、劇場が福岡にあることを忘れてしまうような世界観に惹き込まれたのです。当時中学1年生だったのですが、そのとき感じた衝撃は今も心に残っています。

 

ただ、僕が育った直方市というのは小さな街だったこともあり、ミュージカルが身近なものではありませんでした。ミュージカルの素晴らしさを語りあえる友達もいなかったし、いざ進路を決めるタイミングまで、自分が俳優を目指して上京することを具体的にイメージできていなかったんです。

 

>シンバ役を即降ろされ1週間の特訓

 

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