カットが上手いだけじゃもうダメ? 新たな美容師のスキルセット「ヘアケアマイスター」制度とは
美容室の店舗数は増え続け、競争がどんどん激化している昨今。各店・各スタイリスト、どのように特徴を出していくか迷うことも多いはず。もうカットが上手いだけではやっていけない? そんな悩みを抱える美容師さんに向けて、新たな能力開発の場として設けられたのが「ヘアケアマイスター」なる制度。
今回は、同制度を創設した日本ヘアケアマイスター協会事務局の砂山圭子さんにお話を伺いました。
ヘアケアマイスターとは
まずは、この認定制度がどのようなものなのか聞いてみました。
「ヘアケアマイスターとは、ヘアケアの知識が豊富で、お客さまの毛髪診断を正しく行うことができ、それに対する処置・アドバイスが的確にできる美容師・理容師に与えられる称号です」
資格を取得することで、実務にどのようなメリットがあるのでしょうか。実際にヘアケアマイスターを取得した、美容師・理容師の方からの声を教えていただきましょう。
「毛髪化学、薬品等についての知識をしっかり学ぶことにより、お客さまへのヘアケアアドバイスをわかりやすく伝えられるようになった」
「その時その時の、お客さまの髪の状態に合わせた薬剤選びがスムーズになった」
「新商品をはじめて使用する際、成分表示を見て内容をしっかり理解した上で使用できるようになった。」
「施術技術だけではなく、知識面でもスキルを上げることができた」
なるほど、これまで経験や感覚で捉えていたヘアケアの領域を、正しく、論理的に学び直せることにメリットを感じている美容師さんが多いようです。
どうやったらヘアケアマイスターを取得できる?
美容師免許の取得から、長らく試験から遠のいているみなさんにとって、気になるのはその試験内容。ですが、実はとてもシンプルです。
試験は筆記のみで、100問のマークシート方式。同協会編集の『ヘアケアマイスターブック』より出題され、試験時間は1時間。受験資格は美容・理容の国家資格を取得していて、美容師・理容師としてお仕事をされている方が対象です。休職中の方も受験可能です。
認定試験は、「プライマリー」「ミドル」「マイスター1次・2次」の3コースから構成され、4つの試験を実施。「プライマリー」から受験し、合格者だけが次の「ミドル」、そして「マイスター1次・2次」の受験資格を得ます。
※「プライマリー」「ミドル」は5月と10月の年2回、「マイスター1次」は10月、「マイスター2次」は5月と年に1回ずつ開催される
・プライマリーコース・・・「毛髪の健康」「毛髪のカウンセリング」「ヘアケア剤」についての知識の習得を目指す
・ミドルコース・・・プライマリーコースの知識に加え「ヘアカラー剤」「パーマ剤」の知識の習得を目指す
・ヘアケアマイスター(1次・2次)・・・ミドルコースの知識に加え、1次は「スキャルプケア」と「皮膚化学」の知識、2 次はヘアケアのアドバイスや商品説明のための実践的な「コミュニケーションスキル」の習得を目指す。
「現在までに、約8万人が受検しており、2015年5月時点のヘアケアマイスター取得者は、1,658名です」
すでに8万人が受講しているというのも驚きですが、その中で合格者が1,658名という難関さにもびっくり。つまり持っているとそれだけ誇れる資格とも考えられますね。
ヘアケアマイスターを取得してステップアップを
美容師にとって、ヘアデザインでお客さまに喜んでいただくことはもちろん重要ですが、それに加えて、お客さまの髪の悩みに対して総合的にアプローチができることも今後さらに重要視されていくことでしょう。そんなとき、あなたのアドバイスに説得力を持たせ、他の美容師さんとの差別化を図る意味でも、ヘアケアマイスターを取得しておくというのもひとつの選択肢かもしれません。
「今後、美容師としてどうスキルアップしていけばいいかわからない」と壁にぶつかっている方は、一度ヘアケアマイスター制度について検討してみてはいかがでしょうか?
(取材・文/QJナビ編集部)