旅で五感を開発し、感動の瞬間をつかまえる -artifata CHIKAさんの習慣 後編-
カリスマ美容師の代表格であり、映画祭のレッドカーペットでのヘアメイクも担当したCHIKA(ちか)さん。超一流の演者たちから求められるセンスを持つ彼は、どんなことを日々の習慣にしているのでしょうか。感性や審美眼を磨きたい美容師さん必見のインタビューを前・後編の2回に分けてご紹介します。今回は後編です。
海外に行くと感動することが多すぎて時間が足りない
僕は未知の場所へ行くのが大好きです。知らない街に足を踏み入れると、見たことのない色、嗅いだことのない香りなどに触れることで、きっと自分の五感が混乱するのでしょうね。未体験の刺激によって、自分の五感が開発されていくような、そんな感覚が大好きなんです。
イタリアには何度か行ったことがあるのですが、今年はなかなか行けないところまで足を延ばしました。海にせり出した断崖に独特の建築が並ぶ海洋都市アマルフィ、火砕流によって埋もれた街ポンペイ、天空の街オルヴィエート…カプリ島で青の洞窟も見ました。どこも息を飲む美しさで、その色や香りまで、今も鮮明に残っています。
photo by CHIKA
僕が心惹かれるものは、観光地や世界遺産だけではありませんでした。八百屋さんや魚屋さんも、日本のそれとは違うんですよ。魚や野菜、果物の並べ方も違うし、見慣れない色のトマトがあったりします。日本なら白の軽トラが多いけれど、イタリアは緑のトラックが軒先に置いてあったりして…。お店も、何百年も前につくられた石造りの建物だったりします。
少し市場を歩くだけでも、心が奪われることが多すぎて、時間がいくらあっても足りません。新鮮な感覚をとどめておくために写真で残してきたのですが、それも膨大な量になってしまいました。