ii+U代表長谷川壮のコトダマ「指名売上100万円もいってないのにアシスタントを使っているってことでよろしいでしょうか?」ストイックなイケメン社長を育てた言葉たち

 

第一線で活躍する美容師たちの人生を変えた「恩師の言葉」を紹介する「美容師のコトダマ」。今回は、東京・銀座でサロン『ii+U(アイユー)』を2店舗構える長谷川壮(はせがわそう)さん。InstagramやTikTokで「イケメン社長」っぷりを存分に発揮し、スタッフと一緒にくすっと笑える動画をどんどん発信しています。そんなSNSを華麗に駆使する長谷川さんですが、かつてはニート同然の時期もあったそうです。美容業界の人気者へと大きく変わるきっかけとなった言葉を教えていただきました!

 


 

「元気な体があるのにダラダラしているのはもったいないぞ」
背中で語る、働き者だった親父の言葉

 

 

僕の実家は父と母が切り盛りする蕎麦屋で、1階が店舗で2階が住まいになっていました。父は毎晩11時頃まで仕事をして、翌朝は早朝から仕込みを始める、まさに働き者だったんですよね。

一方の僕はというと、高校卒業後に進学せず「俳優を目指す」と言ってはいたものの、オーディションには年に2回ほどしか行かず、レッスンにもほとんど通わず、毎日昼過ぎに起きて夜通しゲームをする、ダラダラニート状態だったんです。

朝までゲームをしている僕と4時起きの父とで毎日顔を合わせる時間があったんですが、めちゃくちゃ気まずかったです。でも、父は何も言わず、ただ黙々と頑張る背中を見せるだけ。僕はよけいに居心地が悪く、申し訳ない気持ちでいました。

 

 

ある朝、父がいつものように4時に起きてトイレに行った後、苦しそうにしていました。働きすぎで体の限界だったんだと思います。心配して近くによると「元気な体を持っているのに、ずっとダラダラしているのは本当にもったいないぞ」とだけ言い残して仕事に向かいました。

さすがに「何をやっているんだろう、俺……」と自分を見つめ直しましたね。とにかく何か行動しなきゃいけないと思い、美容専門学校に入ることに。美容師になったことで今の僕があるから、父のその一言は、僕の人生に大きな転機を与えてくれました。

父はもう亡くなっていますが、あの言葉は今でも僕の中に残っています。少しでもダラダラしている自分に気づくと、父の顔が頭の中に響くんですよ。「もったいないぞ」って。

 

「そんな仕事、外では通用しない」
母から甘ったれた自分への一言

 

 

実家の蕎麦屋でアルバイトをしていた頃の話です。僕は当時、「3時間しか働けない」とわがままを言っていました。そんなの普通、ありえないですよね。それでも両親は「わかった」と受け入れてくれました。今でこそ接客が大好きなんですが、当時はお客さま対応が苦手で、特に団体のお客さまや難しい対応が必要なお客さまの接客を避けていました。そのたびに母が代わりに対応してくれたんですよ。

そんなわがままな働き方を続けていたある日、母から「自分で仕事を選べるほど人生は甘くないよ。そんな仕事の仕方じゃ外では通用しない」と叱られたんです。返す言葉がありませんでした。

 

 

その後、僕は美容師になるわけですが、バイトを辞めるときにお客さまから「君のお母さんのような接客をしなさい」とアドバイスをされました。母はどんなお客さまにも同じように明るく、温かい対応をしていましたし、お客さまとの以前の話も覚えていて「この前お話しした桜、見に行かれましたか?」と声をかけたりもしていたんですよ。

お客さまの多くは、蕎麦を食べに来るだけでなく「母に会いたい」と思っていたんじゃないかな。接客の本質は、人を喜ばせること。そんな原理原則を、僕は母から学びました。

 

>「そんなところでくすぶっているやつじゃないだろう」

 

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