ろう者のお客さまとの手話の投稿に8.4万♡ 聴覚障害者が通いやすい美容室を目指すANHUTTE加納さんの挑戦

 

聴覚障害者が通いやすい美容室を目指して手話を勉強しているという神奈川県・海老名市にあるANHUTTE(アンヒュッテ)の美容師・加納郁子(かのういくこ)さん。2024年4月にInstagramに投稿した「ろう者の方の本音」のリールが反響を呼び、手話美容師として注目されています。加納さんが手話を勉強しようと思ったきっかけや、サロンワークでのリアル、聴覚障害者のお客さまの反応などについて伺いました。

 


 

昔は見られなかった聴覚障害者のお客さまの笑顔……手話を学んだらきっと楽しんでもらえる

 

 

手話を始めようと思った最初のきっかけは、小学生の我が子なんです。コロナ禍では、音楽の授業の際に感染防止のために歌うことが制限されていたので、手話で歌っていたんです。子どもたちにとっては手話が身近な存在になっていました。ある日「なんでお母さんは手話できないの」って言われたんですよ。

そう言われて、アシスタント時代に働いていた美容室で、聴覚障害者のお客さまが来店したときのことも思い出しました。そのお客さまとは筆談でなんとかやりとりをしたのですが、笑顔もなく帰っていかれたんですよね。美容師としてもお客さまに満足いただけたかわからないし、お互いに伝えたいこともまったく伝えられなかったな、と。スタイリストとなった今同じようなお客さまが来店されたとき、手話ができたら笑顔にできるのかな、と考えたんです。

 

 

それで、自治体で開催されている手話の講座を受けることに決めました。お店で使えるくらいの手話ができるようになればいいかな、という軽い気持ちで始めたのですが、実はその講座というのが手話通訳士の入門講座で。なかなかガチの講座だったんです。週に1回、1年間ほど通いました。それが昨年の夏のことですね。講習に通っている間はいいのですが、使わないと忘れてしまうので、今は子どもたちと一緒に、週に1回手話サークルに通うようになりました。

 

 
 
 
 
 
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加納郁子/海老名/手話美容師/手話/要約筆記/美容師/美容院(@anhutte_kano)がシェアした投稿

美容室で周りのお客さんが楽しくお話ししているのが羨ましかった

話題となったろう者の方の本音投稿 

 

手話ができる美容師としてSNSで発信をするのは、最初は少しためらいがありました。聴覚障害者の方を利用して集客しようとしている、と批判されたらどうしようという気持ちがあったんです。ところが、発信を始めてみると「頑張って!」という温かい応援メッセージをいただけることばかりなので、その点ではほっとしました。

 

 

手話ができる美容室はまだまだ少ないですし、筆談も手間がかかります。聴覚障害者の方は、美容室がわずらわしくなって数年に1回だけ、という方も多くて。そういった方が楽しく来店できればいいな、と考えています。今では私の新規のお客さまはほとんど聴覚障害者の方になりました。だいたい月に10人くらいは来店されています。

ただ、手話ができる美容室はまだまだ少ないんですよね。遠いところだと、名古屋から私のところに通ってくださっているお客さまもいらっしゃいますが、遠距離だと通えない場合がほとんどです。だから、日本全国の手話ができる美容師さんは積極的に「手話できます」とか「手話の接客も練習中」とか発信してもらえると、もっと聴覚障害者の方は美容室に通いやすくなると思います。

 

>カウンセリングにアフターケア、美容室特有の言葉を手話で表現する難しさ

 

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