クリエイティブサロンnenenで磨いた感性で躍進する、注目の若手スタイリスト 下岡悠太さん #Z世代のスター発掘
SNSでの競争がどんどん激しくなっている近年。デジタルネイティブ世代の若手美容師たちは、どんな武器を持って激しい競争の中を勝ち抜いているのでしょうか?
今回登場するのは、オーナーのイッシキケンタさんを筆頭に、デザインやクリエイティブに秀でたスタッフが揃うnenen(ネネン)の若手スタイリスト、下岡悠太(しもおかゆうた)さん。クリエイティブコンテストのファイナリストにも名を連ねる下岡さんのInstagramには日々、時代のニーズと自身の感性をミックスしたデザインカラーのスタイルが投稿されています。それらを生み出すのは長年磨かれてきたセンスかと思いきや、クリエイティブに力を入れ始めたのは上京してきたわずか三年前からだそう。
美容師を志したきっかけから、現在の下岡さんに至るまでのストーリー、そしてSNSとの向き合い方まで、詳しくお話いただいた注目のインタビューです。
中学卒業と同時に親元を離れ、美容の道を進んだ
美容師になると決めたのは中学二年生の頃。出身が広島の田舎の方なので、それまでは近所の理髪店で髪を切っていたのですが、中二でようやくちゃんとした美容室に行くようになったんです。初めてサロンに行ったときの、ワックスでセットしてもらって自分が変身する感覚がすごく衝撃的で…。自分も誰かを感動させられる仕事がしたいと思って、美容師になろうと決意しました。
そうと決めたら早く動きたくて、「中学を出たら美容専門学校に通いたい。美容師になるなら東京で働きたいから、上京したい」と伝えたのですが、両親には反対されましたね。もともと普通に進学する予定でしたし、中学卒業後に地元を離れることも含め、すごく揉めました。結果、折衷案という形で通信制の高校に通いながら、東京ではなく大阪の専門学校に通うことに。高校卒業と同時に18歳で美容師免許を取って、そのまま、新卒で大阪のサロンに就職しました。
そのサロンでは5年ほど働いて、一度目のスタイリストデビューもしています。そこは、新規のお客さまがたくさんいらっしゃって、スピード重視で施術していくカジュアルサロン。自分の作るスタイルも、今とはかなり雰囲気が違ったと思います。
働いていくうちに、少しずつ「自分がやりたい方向性と違うな」と感じる部分が増えたことと、美容師を志したときの「東京に行きたい」という想いを叶えたかったこともあって、スタイリストになって3年目のタイミングで退社して上京してきました。
上京するにあたって決めたのは、アシスタントからやり直すこと。大阪のサロンではカリキュラム通り2年でデビュ―したものの、自分の中では不安要素があったというか、本質的なところを理解していないまま美容師をやっている感覚だったんです。なので、環境を変えるタイミングで一から学び直そうと思いました。
2021年にこっちに来たのですが、当時はコロナ禍の真っただ中。就活には正直すごく苦労して、落ちた数で言ったらトップクラスじゃないかなと思います(笑)。その中で、前社のLa familiaに出会ったのは一つのご縁だったと感じますね。
Instagramで見たイッシキの作るスタイルに惹かれて指名でお店に行ったのですが、僕よりも楽しそうに僕の髪をやってくれている姿がすごく印象的で、この人が働いているサロンに入りたいと思ったんです。結果的に内定をいただいて、La familiaではアシスタントとして1年半ほど勤務し、nenenにオープニングスタッフとして参加したタイミングで、二度目のスタイリストデビューを果たしました。
同世代の活躍に背中を押されて、苦手な表舞台へ
上京してきたことが一つ目のターニングポイントだとしたら、もう一つは初めてコンテストに参加したことですね。僕はもともと、人前で自分を表現することが苦手なタイプ。生徒会には入るけど生徒会長にはならないような、最前列に立つのを避けてきた人間なんです。そんな自分がコンテストに出ようと思ったきっかけは、同年代が活躍する姿を目の前で見たことでした。
二年ほど前、前社の先輩が出場していたドリームプラスの応援に行ったら、同じステージにsikiの裕太くん(水口裕太さん)やJURKのmitsukiちゃん(朝日美月祈さん)が立っていて、すごく楽しそうに活躍していたんですよ。その頃、僕は上京してちょうど一年が経った頃。スタイリストにもなれていないし、Instagramのフォロワーも当時は2000人くらいで、「同世代でこんなに活躍している人がいるのに、自分は何をしてるんだろう」とすごく焦りを感じました。とにかくいま出来ることはなにかを考えて、コンテストに参加しようと思ったんです。
初めて出たのは、スターアワードというコンテストでした。ファイナルまで行くと、審査員の方の前でスタイルのプレゼンと質疑応答をするのですが、それが結構重たい雰囲気なんですよね。もともと人前で話すのが苦手なので、そのステージに向けてたくさん準備して臨んだ本番で…、僕、めちゃくちゃ失敗したんですよ(笑)。本当に悔しかったですし、だからこそ変われたとも思っています。
それまでは、どこかでかっこつけていたところがあった僕が、全く上手く出来ない、クソダサい自分を経験したことで、恥ずかしいという気持ちもなくなったし、ある意味度胸もついて殻を破れた。僕にとってすごく大きな経験でしたし、それからスターアワードは毎年必ずエントリーしています。
>SNSもクリエイティブも、手を付けたのは東京に来てからだった
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