美容のことだけを考えてはダメ人生について考えなさい
「地元に錦の旗をあげる」その覚悟を胸に秘め、故郷・千葉を中心に美容室二十五店舗(内台湾一店舗)、アイラッシュ併設十七店舗、エステティックサロン二店舗、ネイルサロン七店舗、カラーサロン三十店舗を抱えるトゥルースグループ。
創業者の天野雅晴に〝美容師に必要なこと〟は何かを問うと、返ってきた答えはシンプルだった。
「強いて言うなら、考える力を身に付ける。これですね。考えると言うのは、美容のことだけじゃない。人生について、生き方について考えてほしい」
その答えは、天野の人生経験が起源となっている。
「俺が十七歳の時、母親が身体障害者になり、生きるために頑張るしか道はありませんでした。その時から人生について本気で考えはじめました」
天野自身、SNS を通してスタッフに生き方、考え方を伝えている。
「俺にとってSNS は生き方、考え方を伝える場です。技術がどうとか語るよりも、もっと大切なことを伝えています。一方、スタッフにとってSNS は、集客の場です。この時代、SNS を利用してないなんてもったいない。だって宣伝費ゼロでアピールできて、新規客を掴めるんですから。昔はリーフレットを撒いていたけど、今はSNS で集客できるなんてすごい時代です。スタッフにはコツコツとした作業を続けるよう伝えています。例えば、顧客ターゲットを見つけたらいいね!するとかフォローするとか、そういったアクションを繰り返すことが大切です。昔は美容室が集客していましたが、その時代は終わり。美容師個人で集客しないと生き残れない」
ヤンチャだった十代 人の優しさに触れ美容師に
一代で会社を育て上げた天野。美容師になったきっかけは、ある人物の優しさに触れたことだった。
「昔の俺はヤンチャなガキで、高校に入学してもすぐに退学。ある日、トラブルを起こして逃げていたら、ある美容室の前を通ったんです。そこに助けを求めたらお店のオーナーが優しく対応してくれたんです。その心温まる行為に感銘を受け、改心し美容師になろうと心に決めました」
美容師になると決意した当時十六歳の天野は、美容室で働きながら通信教育で美容師免許を取得。そして、二十七歳の時に独立した。
「お店と喧嘩別れのような形で退職しました。それがきっかけで『自分のお店を作るんだ!』と独立したんです。でも今にして思うと、喧嘩別れのような辞め方はよくない。その反省から、自分は一生付き合える仲間づくりをしたいと思うようになりました」
その思いもあって、トゥルースの社員が独立を希望する場合、のれん分け制度を利用することができる。
関わるすべての人を幸せにする会社にしたい
一九九八年に創業して以来、成長し続けているトゥルースは、会社として次のフェーズに入っている。
「俺が還暦を迎える九年後に、経営を退き次の世代に会社を任せたいと思っています。実は二〇二一年の十月に脳梗塞になってしまい、二週間ほど入院しました。医者からは、再発の可能性もあると言われています」
生死の境をさまよった天野が真っ先に考えたのは、〝社員〟だ。
「自分が今倒れたら、会社も倒れてしまう。そうなると社員が路頭に迷ってしまう。病院のベッドの中で社員のことを考えていたら、事業継承をしないといけないと思いました。昔は負けず嫌いもあって、なにクソ精神で働いていましたが、今は人のために働いています。自分が頑張っていけるのは社員のおかげ。『トゥルースに関わるすべての人を幸せにしたい』その想いを、少しでも感じてもらえる会社にしていきたい。おこがましいことを言っていますが、本気でそう思っています」
2021年9月YouTubeデビュー。チャンネル名:あまのDX
撮影会も定期的に開催
TRUTH本社ビル。トレーニングジムやアカデミーも完備