美容師は姿勢もセットする時代! 野沢道生と兼子ただし、二人のカリスマが構想する「ボディスタイリング」とは?
美容業界のなかで「トータルビューティ」という言葉が広まり、美容師の仕事の範囲が拡大する昨今。そんななか、「ドSストレッチトレーナー」として知られる株式会社スリーエスグループジャパン代表の兼子ただしさんと、Nozの野沢道生さんは、コラボレーション企画「ボディスタイリング」を構想中です。
「ヘア、メイクと同じように身体もセットする」ということを目的としたこのコラボレーションですが、今回は兼子さんと野沢さんに、美容師と姿勢の関係性や今後の展望について直撃。まずは兼子さんに、美容師が姿勢について学ぶべき理由について伺いました。
姿勢のシルエットが第一印象の9割を決める
-今回どのような想い・経緯があり、「ボディスタイリング」を美容室でレクチャーすることとなったのでしょうか?
「美意識の高い女性は頻繁に美容室に通ったり、ヘアやネイルに気を遣ったりしますよね。でも、そうした美意識は持っているのに姿勢が悪い、という人は意外と多いのです。
例えば、10m離れたところにいる相手から自分のヘアスタイルは見えないとしても、姿勢のシルエットは見えてしまいます。そして人の第一印象を左右するのは、顔の一部といったピンポイントな部分ではなく、その人の全体的な佇まい。その姿勢のシルエットがその人の第一印象の9割を決めてしまうんです。
つまり、どれだけヘアやネイル、素敵な洋服を着て完璧にセットしていても、ご老人のような猫背や首から上だけが前に突き出すような不自然な姿勢だと格好悪くなってしまいます。せっかく美意識を高く持っていても、そんな風に自分の姿勢がおろそかになっていてはもったいないですよね。
だからそうした女性に正しい姿勢を知ってもらうために、美容室で行う施術の一つとして、美容師にボディスタイリングをやっていってもらいたいという想いがありました。そんななか、Nozの野沢さんと共通の知人がいた縁もあり、依頼を受けてNoz銀座店でレクチャーをすることになりました」
日本では姿勢のよいクールビューティが敬遠される
-姿勢のよし悪しは心身にどのような影響を与えるのでしょうか?
「よい姿勢は血液の流れがよくなるため、身体中にきちんと酸素や栄養が行き渡り、内臓にもいい影響を与えます。そして気持ちも前向きになり自信を持った佇まいになります。逆に姿勢が悪いと気管を圧迫して狭めてしまい、呼吸が浅くなることで、血流が悪くなったり、体温が低下したりします。うつむきがちになることで、精神的にも不安を感じたり、自信を持てない状態になったりします」
-なぜ現代になって姿勢の悪い人が増えているのでしょうか?
「西洋人は祖先が狩猟民族であるため獲物を捕らえるために体が伸びやすいという特徴を持つのですが、日本人は田んぼや畑に作物を耕す農耕民族を先祖に持つので元々前かがみの姿勢にはなりやすいんです。でもなぜ、今姿勢の悪い人が増えているか。それは昔の女性が着ていた着物の帯が猫背になることを防いでいたからなんです。
現代では、母親のような女性像を異性に求める傾向にあるせいか、しゃきっと背筋の伸びたワールドビューティな女性が敬遠され、もう少し自分の身の丈にあった「かわいい」を求める男性が増えているように思えます。それによって女性も男性が守りたくなるような「かわいい」にあてはまろうと、芯の通らない姿勢になってしまうのです。
こんな風に男性がワールドビューティを敬遠したり、女性がワールドビューティになるのに引け目を感じたりするのは、おそらく日本特有だと思います」